設計・デザイン
ホームページデザインの例・見本と参考にするコツ
ホームページの見本は、「おしゃれ」「かっこいい」と感じたサイトだけを集めるのではなく、自分の目的、対象者、必要ページ、更新方法に近いものを選びます。写真が魅力的でも、料金やサービス内容を探せなければ、参考にすべき点は限定されます。
参考サイトから学ぶのは、色や形をそのままコピーすることではありません。情報の順番、見出し、写真の役割、スマートフォンでの操作、信頼情報の見せ方など、目的を達成する仕組みを分析します。
このページでは、目的・テイスト別の典型的なデザイン例と、参考サイトを自社の要件へ変換する方法を解説します。特定サイトのスクリーンショットやロゴは無断掲載せず、必要になった段階で権利と利用条件を確認します。
公開前の重要項目
- 見本サイトを目的から選ぶ考え方
- 企業、店舗、サービス、専門業種の参考ポイント
- シンプル、親しみ、高級、先進的なデザインの違い
- 見本サイトを確認する8項目
- 参考情報を要件・ワイヤーフレームへ落とす方法
見本サイトは「好み」だけで選ばない
参考サイトを選ぶ前に、自社サイトの条件を書き出します。
- 主な対象者
- 最も伝えたい商品・サービス
- 閲覧後の主要な行動
- 必要なページと機能
- 用意できる写真・文章
- 更新担当者と更新頻度
- ブランドの雰囲気
- 予算と制作方法
たとえば、大きな写真と動画を使った高級ホテルのサイトが魅力的でも、自社に撮影予算がなく、料金・サービスを頻繁に更新する小規模店舗なら、そのままの構成は合わない可能性があります。
見本は次の三種類に分けて集めます。
| 種類 | 集める目的 |
|---|---|
| 同業種 | 利用者が比較する情報、業界の基本ページを確認 |
| 同じ目的 | 問い合わせ、予約、採用、販売などの導線を確認 |
| 異業種の表現 | 配色、写真、図解、レイアウトのアイデアを確認 |
同業種だけを見ると似たデザインになりやすいため、目的が同じ異業種も参考にします。ただし、医療・士業・ECなどは必要表示や広告規程が異なるため、内容をそのまま転用しません。
目的別の参考例
企業の信頼を伝えるサイト
企業サイトでは、最初の画面の印象だけでなく、事業内容、会社情報、実績、問い合わせ先を短時間で確認できることが重要です。
参考にしたい構成例
- 会社が提供する価値を一文で示す
- 主な事業・サービスを3〜6項目で案内
- 特徴・強みを根拠とともに説明
- 導入実績・事例・数字を提示
- 会社概要、代表・チーム情報へ案内
- ニュース・採用・問い合わせへつなぐ
デザインの特徴
- ロゴ・コーポレートカラーを中心にした配色
- 写真の比率と余白を統一
- 事業が複数でも迷わないメニュー
- 数字・実績の根拠が分かる注記
- フッターに会社情報と主要ページ
参考サイトを見る際は、トップページが魅力的かだけでなく、サービス詳細・会社概要・問い合わせが同じルールで作られているか確認します。
店舗への来店・予約につなげるサイト
店舗サイトでは、スマートフォンから営業時間、場所、メニュー、料金、空き状況を確認する利用場面が多くなります。
参考にしたい構成例
- 店舗の種類と特徴
- メニュー・サービス・料金
- 店内・スタッフ・施術などの写真
- 初回利用の流れ
- 予約方法・空き状況
- 営業時間・定休日・アクセス
- キャンセルなどの注意事項
デザインの特徴
- 写真で雰囲気を伝えつつ文字情報も掲載
- 料金を表やカードで比較しやすくする
- 電話・予約・地図への操作を分かりやすくする
- 営業時間と休業情報を見つけやすくする
- スマートフォン下部の固定ボタンは内容を遮らない
美容室サイトなら美容室・ヘアサロンのホームページ作成で、必要ページと予約導線を詳しく扱います。
商品・サービスを分かりやすく伝えるサイト
形のないサービスや専門的な商品では、写真だけでなく、課題、提供内容、料金、流れを構造化します。
参考にしたい構成例
- 誰のどの課題を解決するか
- 商品・サービスの概要
- 利用前後の変化・得られる価値
- 特徴と他の選択肢との違い
- 料金・プラン比較
- 導入・利用の流れ
- 事例・FAQ・注意事項
デザインの特徴
- 抽象的な内容を図解・比較表で整理
- 見出しだけでもページの流れが分かる
- 装飾より文章の読みやすさを優先
- 料金と条件を同じ場所で確認できる
- 事例に課題・対応・結果の流れがある
1ページへ情報を詰め込む場合も、見出しと目次で現在地を分かりやすくします。
士業・医療など信頼性を重視するサイト
テイスト別に見るデザインの特徴
シンプル・ミニマル
特徴
- 色数を抑える
- 余白を広く取る
- 写真や文字を厳選する
- 線・影・装飾を減らす
- 主要な操作を少数に絞る
向きやすいサイト
企業、専門サービス、ポートフォリオ、商品数の少ないブランドなどです。
注意点
情報まで減らしすぎると、何を提供しているか分からなくなります。薄いグレーの文字、極端に小さな文字、意味の分からない英語見出しにも注意します。
親しみやすい
特徴
- 明るい色や柔らかな背景色
- 角丸、イラスト、自然な人物写真
- 分かりやすい言葉と短い見出し
- 利用の流れやFAQを丁寧に説明
向きやすいサイト
地域店舗、子ども・家族向け、福祉、教育、NPO、小規模サービスなどです。
注意点
色、イラスト、丸い部品を増やしすぎると、幼い印象や情報過多になる場合があります。対象者に合う親しみ方を選びます。
高級・上質
特徴
- 写真の品質と統一感を重視
- 色数を抑え、深い色や余白を使う
- 書体と文字間を丁寧に調整
- 動きや装飾を必要な箇所に限定
向きやすいサイト
宿泊、飲食、住宅、ジュエリー、美容、高価格帯サービスなどです。
注意点
暗い背景に細く小さな文字を置くと読みにくくなります。料金や利用条件を見えにくくすることは高級感ではありません。写真品質を維持する撮影・更新体制も必要です。
先進的
特徴
- 大きなタイポグラフィ
- グラデーション、3D、動画、アニメーション
- データや機能を視覚的に表現
- 非対称レイアウトや大胆な余白
向きやすいサイト
IT、SaaS、研究開発、クリエイティブ、スタートアップなどです。
注意点
動きが内容を遮る、表示が重い、キーボードで使えない、古い端末で崩れるといった問題を確認します。先進性は演出の多さではなく、サービスの理解しやすさでも伝えられます。
見本から確認する8つのポイント
1.最初の画面
誰向けの何のサイトか、主要な価値、次の行動が分かるかを確認します。大きな画像だけで内容が分からない場合は、その表現を採用する理由を見直します。
2.メニューとページ構成
メニュー名から内容を推測できるか、重要ページへ何度も迷わず移動できるかを見ます。ページ数が多い場合の分類方法も参考になります。
3.情報の順番
結論、特徴、料金、実績、流れ、FAQがどの順番で出るか確認します。自社の利用者が同じ順番で判断するとは限らないため、理由を考えます。
4.文字と見出し
本文の幅、文字サイズ、行間、H1〜H3の差、箇条書き・表の使い方を確認します。見た目だけでなく、内容を流し読みできるかを見ます。
5.色と余白
メイン・アクセント・背景・文字の役割と、セクション・部品間の余白を確認します。色コードをコピーするのではなく、何のために使っているかを分析します。
6.写真・図解
実写と素材写真の割合、写真の構図、図解で説明している内容、画像比率を確認します。同じ品質の素材を自社で継続して用意できるかも考えます。
7.スマートフォン
横並びがどの順番で縦になるか、メニュー、ボタン、表、フォーム、固定部品を確認します。パソコン画面だけで参考サイトを選ばないようにします。
8.信頼情報と更新
会社・担当者、料金、実績、資格、利用者の声、日付、問い合わせ先がどこにあるかを確認します。更新されているページと、古い情報が残るページも見ます。
参考サイトを要件へ落とし込む方法
「このサイトのようにしてください」だけでは、何を再現するか分かりません。参考ごとに採用理由を言語化します。
| 参考箇所 | 良いと感じた理由 | 自社で採用する要件 |
|---|---|---|
| トップ上部 | 対象者とサービスが一文で分かる | H1と補足文を2行以内にする |
| サービス一覧 | 3種類を比較しやすい | 対象・内容・料金へのリンクをそろえる |
| 事例 | 課題と結果が具体的 | 課題・対応・結果の3項目で登録する |
| 配色 | 落ち着きと読みやすさがある | 青を主色、アクセント1色、本文は濃いグレー |
| スマホメニュー | 主要ページへすぐ移動できる | メニューを6項目以内に整理する |
手順は次のとおりです。
- 目的・対象者が近いサイトを3〜5件選ぶ
- 各サイトで参考にする部分を一つずつ書く
- 色・形ではなく役割と理由を説明する
- 自社に必要な内容へ置き換える
- サイトマップとワイヤーフレームへ反映する
- 予算・素材・更新体制で実現可能か確認する
一つの参考サイトを丸ごと再現せず、ナビゲーション、料金表、事例、写真など複数サイトから考え方を学び、自社の情報へ組み直します。
著作権を侵害せず参考にする方法
ホームページの文章、写真、イラスト、ロゴ、画面デザインなどは、著作権・商標権などの対象になる場合があります。インターネットで閲覧できるから自由に複製・掲載できるわけではありません。
次の行為は避けます。
- 文章・見出しをそのままコピーする
- 写真・イラスト・ロゴを保存して使用する
- スクリーンショットを許可なく自社サイトへ大量掲載する
- レイアウト、配色、装飾を細部までそのまま再現する
- 相手のブランドと誤認される表現を使う
- テンプレートやコードを利用条件外で流用する
参考にする際は、情報設計の考え方を分析し、自社の目的・内容から新しく作ります。具体的なサイトを紹介するページでは、公式サイトへのリンクと自分の短い分析を基本とし、スクリーンショットが必要なら権利者の許諾、引用要件、利用規約を確認します。
文化庁の著作権教材でも、著作物は創作時に自動的に権利が生じること、業務目的の複製・スクリーンショットなどでは原則として許諾が必要になる場面があることが説明されています。判断が難しい場合は専門家に確認します。
流行より優先したい使いやすさ
Webデザインの流行は変わりますが、利用者が内容を読み、操作する基本は残ります。
- ページの主題が分かる見出し
- 読みやすい文字とコントラスト
- 内容を予測できるメニュー・リンク
- 押しやすいボタンと入力しやすいフォーム
- 会社・料金・責任主体の確認しやすさ
- スマートフォンでの自然な順序
- 動きやポップアップで内容を遮らない
- 更新担当者が同じ品質を保てるルール
流行のデザインを採用するときは、ブランドに合うか、3年後も内容を更新できるか、表示速度・アクセシビリティを損なわないかを確認します。
デザイン原則はホームページデザインの基本、既成デザインの選定はホームページテンプレートの選び方で詳しく解説します。
よくある質問
参考サイトは何件集めればよいですか
3〜5件程度から始めると比較しやすくなります。同業種、同じ目的、異業種の表現を分け、各サイトで参考にする箇所と理由を書きます。
おしゃれなサイトをそのまま真似してもよいですか
文章、写真、ロゴ、コード、創作性のあるデザインをそのまま複製してはいけません。情報の整理方法や使いやすさを分析し、自社の目的と内容から設計し直します。
スクリーンショットをサイトに掲載できますか
画面内のデザイン、写真、文章、ロゴなどには権利がある場合があります。紹介・批評としての引用要件を満たすか、権利者の許諾を得るかを確認します。単なる装飾や見本一覧として無断転載しないようにします。
同業他社以外も参考にしてよいですか
構いません。問い合わせ、予約、採用、販売など同じ目的の異業種から、情報の順番や操作方法を学べます。必要表示や業界ルールは自社の業種に合わせます。
デザインの好みが関係者で合わない場合はどうしますか
好みの投票だけにせず、対象者、目的、必要情報、スマートフォン、更新性などの評価項目で比較します。参考サイトのどの部分が目的に役立つかを言葉にします。
参考情報
- 文化庁「著作権テキスト」:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/textbook/pdf/94081601_01.pdf(確認日:2026-07-14)
- 文化庁「いわゆる『写り込み』等に係る規定の整備について」:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html(確認日:2026-07-14)
- W3C WAI「How to Meet WCAG 2.2」:https://www.w3.org/WAI/WCAG22/quickref/(確認日:2026-07-14)